オーストラリア「Twelve Apostles」に新ビジターセンターが10月16日開業、3300㎡の拠点からグレートオーシャンロード周遊へ
オーストラリアの代表的な景勝地「Twelve Apostles(十二使徒)」で進められてきた大規模な再整備が完成し、2026年10月16日に新たな「Keerray Woorroong Visitor Centre」(キレイ・ウルング・ビジターセンター)が開業します。総投資額は1億2600万ドル。3300㎡のビジターセンターを中心に、展示、食、地域案内、ガイドプログラム、屋上展望エリアなどを整えます。
再整備の狙いは、Twelve Apostlesを写真撮影のために立ち寄る場所から、土地の自然や文化を知り、周辺地域へ旅を広げる入口へ変えることです。10月16日からはTwelve Apostlesを訪れるすべての来訪者に予約が必要となり、観光客の受け入れ方法も大きく変わります。

「写真を撮って帰る」から、その土地を知る時間をつくる場所へ
Twelve Apostlesは、グレートオーシャンロードを代表する自然景観として知られています。今回の再整備では、その景色を見ることに加え、土地の歴史、文化、地質、自然環境を理解するための体験が加わりました。中心となるKeerray Woorroong Visitor Centreには、没入型展示やデジタル体験、地域の観光情報、ガイドプログラム、飲食、物販などを集約。施設の屋上には「Great Ocean Lookout」と呼ばれる庭園・展望エリアが設けられ、南極海を見渡すことができます。
訪問者が短時間で景勝地を見て次へ移動するのではなく、ここで土地を知り、さらにグレートオーシャンロード沿線を巡る。その流れをつくることが新しいビジターセンターの役割です。

先住民Eastern Maarの文化と視点を施設全体に
新施設を特徴づけるのが、先住民Eastern Maarの文化、知識、土地に対する考え方を来訪者体験の中に取り入れていることです。ビジターセンターはEastern Maarとの協議を重ねて設計されました。館内ではインタラクティブ展示や文化的な資料、ガイドプログラムを通じ、この海岸が形成されてきた地質の歴史、環境の変化、人と土地との関係を紹介します。
屋外には新たに「Welcome Garden」を整備。地域固有の植物を使った庭園や散策路からEastern Maarの文化に触れられるようにしました。
館内の「Keerray Woorroong experience」では、映像や展示を通じて、数百万年にわたる気候や地質の変化、国立公園と周辺地域の環境について伝えます。雄大な景観を眺めるだけでなく、「なぜこの風景が生まれ、この土地で人々がどのように暮らしてきたのか」まで知ることができる場所になります。

230席のカフェ、屋上展望、ガイド体験 3300㎡に地域の魅力を集める
Keerray Woorroong Visitor Centreは延床面積3300㎡。Visitor Ambassadorsによる案内、トークプログラム、セルフガイド式のオーディオツアー、ガイド付き体験などを用意します。
地域全体の観光案内も重要な機能です。スタッフが旅程や周辺地域の情報を案内し、Twelve Apostlesを起点に、その先のグレートオーシャンロードへ足を延ばしてもらいます。家族連れやさまざまな身体的・感覚的ニーズを持つ来訪者に対応する設備も整備しました。
地域の「食」を目的地体験の一部に
飲食施設には230席のカフェを設け、Welcome Gardenを望むウォークアップ式のキオスクを用意。提供する商品には、Timboon DistilleryやTimboon Fine Ice Creamなど周辺地域の事業者によるものも取り入れます。屋内外で食事を楽しめる場所をつくり、景観だけでなく、この地域でつくられる食や飲み物も来訪者体験の一部に組み込みます。
ビジターセンターで周辺の食や観光情報を知り、その地域へ実際に出かけてもらう。新施設には、Twelve Apostlesへの集中を周辺地域へ広げ、飲食店や宿泊施設、地域事業者への消費につなげる役割も期待されています。

約600台の駐車場と100台分の大型車スペース 団体旅行の受け入れも強化
再整備されたTwelve Apostles Precinctには、約600台分の乗用車駐車スペースに加え、バスなどに対応する約100台分のスペースが用意されます。
個人旅行者だけでなく、大型バスを利用する団体旅行への対応力も大きなポイントです。世界的な観光地では、来訪者の集中による駐車場の混雑や周辺環境への負荷が課題になります。今回の再整備では、施設だけでなく来訪者の動線や駐車環境まで含めて見直しました。Loch Ard GorgeとGibson Stepsへのアクセス方法は、今回の変更後も従来通りとなります。
10月16日からTwelve Apostlesは予約制へ 2027年4月から有料化
新施設の開業に合わせ、Twelve Apostlesの訪問方法にも大きな変更があります。2026年10月16日から、すべての来訪者に到着時間を指定する予約が必要になります。現在の予約は無料で、事前に予約することで入場と駐車を確保し、混雑を抑えながら訪問できる仕組みです。
事前予約をしていない場合でも入口で予約できますが、駐車場が満車の場合にはすぐに入場できない可能性があります。このため、事前予約が推奨されています。2027年4月からは予約を有料化する予定です。得られた収入は、グレートオーシャンロード沿岸や公園の自然環境保全、海岸保護、来訪者環境の改善へ直接還元されます。
観光客の人数を管理する予約制度と、そこから得られる収益を自然環境へ戻す仕組みを組み合わせることで、世界的な景勝地を長期的に維持していく考えです。

景勝地から「地域へのゲートウェイ」へ 観光客の滞在時間をどう延ばすか
今回の再整備で注目したいのは、新しい建物をつくることだけが目的ではない点です。Twelve Apostlesにはもともと強い集客力があります。その来訪者に景色を見て帰ってもらうのではなく、地域の文化、自然、食、人を知ってもらい、周辺へ足を延ばしてもらう。観光客がすでに訪れている場所を、地域全体への入口として活用する考え方です。
施設内には地域情報を提供するスタッフを置き、展示では土地の物語を伝え、カフェでは地域の商品を提供します。屋上から景観を見た後、その先にある地域へ向かう理由を来訪者に提示していきます。世界的な観光地への集客を「その場所だけ」で完結させず、滞在時間の延長や周遊、地域での消費へどうつなげるか。Keerray Woorroong Visitor Centreは、そのための新しい観光拠点として10月16日にスタートします。
Keerray Woorroong Visitor Centre 概要
開業日:2026年10月16日
場所:Twelve Apostles Precinct、Great Ocean Road
施設面積:約3300㎡
営業:365日
営業時間:サマータイム期間 8:00~20:00、通常期間 9:00~17:00
主な施設:展示・デジタル体験、地域観光案内、Great Ocean Lookout、Welcome Garden、230席カフェ、キオスク、物販、ガイド体験など
駐車場:約600台
バス・コースター等:約100台
訪問予約:2026年10月16日から必要。現在は無料
有料化:2027年4月予定
総事業費:1億2600万ドル
事業実施:Development Victoria
建築・ランドスケープ:Grimshaw、Aspect Studios
運営:Great Ocean Road Coast and Parks Authority
公式Webサイト https://www.twelveapostles.org.au/
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